オーナーの手にによってカスタム途中のマグナ50。
15センチスイングアームをロングにしてほしいとの事。
15センチは結構長い。
計算してみるとサスに掛かる荷重は約2倍。
サスの変更も必要だけどマグナ用で荷重が2倍のサスなんかは無いんだよね。
今回は将来リジットのする事を前提で、サス位置変更無しのサス後ろ側を延長する方法に。
大事な所はオーナーとよく相談しないとね。
延長するだけなら何て事ないんだけど強度が心配。
外したスイングアームの寸法を測定して簡単な構造計算してみよう。
スイングアームの鋼材は 25X40X1.6
とりあえず、片持ち梁のたわみ計算という基本的な計算。
片方のスイングアームに100キロ荷重をかけた時どれだけたわむか。
最近便利になってパソコンに入力するとすぐに計算できるんです。
ノーマルがスイングアームのサス付け根からリヤアクスルシャフトまでの距離を100ミリとして、たわみ量は
0.037ミリ
この数字が少ないと、剛性があるという事。
150ミリロングになるとしてたわみを計算すると 0.58ミリ。
0.037ミリから0.58ミリになったんだから150ミリロングになるとすごくたわむのが分かる。
そこで補強だけど何ミリの板を使えばいいか。
仮に3ミリ板厚を増やすとして計算するとたわみは 0.182ミリ
ノーマルと同じたわみにしようとすると鋼材の外径を変えて倍くらい太くないと追いつかない。
現実的には剛性が弱くなるのは妥協するとして、補強の位置を考えてある程度しなるけど折れないというのが妥当な設計なんだね。
実際に折れるまでの計算も重要だけど、バイクのフレームは一部分だけ強度上げても他の箇所にクラック入ったりするから、しなるけど折れないという設計がベストだったりするんだね。
そういう意味でも、たわみ計算だけでも最低限しておくと安心なんですね。
感だけでのカスタムは危険です。
作業途中は画像ありません。
150ミリ長くして違和感ないよう補強し、粉体塗装されたスイングアーム。
角パイプも追加してねじれにも対処しています。
カッコイイんじゃないですか。
実は中間部分で伸ばさず、カットした箇所から後ろは新しく鋼材を削って作り直しています。
溶接箇所を減らして、いかにも継ぎはぎしました、という風にならないようにしています。
長くなってチェーンが外れるのも嫌なのでチェーンガイドも付けました。
これで依頼された作業は完了。
この後はオーナーによってカスタムが熟成されるでしょう。
自分で出来ることは自分で、溶接など加工が必要な箇所はランポートで。
こんなカスタムもアリで、安心安全で楽しめればいいんじゃないでしょうか。
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